剪断流動性

(1) メルトインデックス(MI)

 熱可塑性樹脂の溶融時における流動性を表す尺度であり、最も簡単な指標です。一定温度および圧力でオリフィスから熱可塑性樹脂を押出し、押出された量を10分間当たりのグラム数に換算して表された数値です。MIの値が大きい樹脂ほど溶融時の流動性や加工性が良好です。

 ポリプロピレンのMIは測定温度230 ℃、荷重2.16kgで、径2.095mm 、長さ8mm のノズルからの10分間のポリマー流出量であり、ポリエチレンでは測定温度が190 ℃で行います。

(2)キャピラリ−レオメ−タ−

剪断流動性のうち、剪断粘度を測定する最も一般的な方法がキャピラリ−レオメ−タ−である。下図に測定装置の概略図を示しました。リザ−バ−内に溶融樹脂を充填し、一定温度に達した後、所定の速度でプランジャ−を降下させ、溶融樹脂を半径R、長さLのノズルから押出し、そのときに発生する圧力ΔPをプラジャ−上部に取り付けたロ−ドセルにより測定します。ノズルから押出された流量Qは降下速度から計算されます。このとき、ノズル壁面における剪断応力τと剪断速度γは次式から計算されます。

  τW,a = R・ΔP/2L         (1) 

   γa  = 4Q /πR          (2)         

(2)コ−ン&プレ−トレオメ−タ−

 キャピラリ−レオメ−タ−と共に剪断流動性を評価する方法として、コ−ン&プレ−トレオメ−タ−があります。一般にキャピラリ−レオメ−タ−は剪断速度領域が1から数百s-1の間を測定するのに適していますが、コ−ン&プレ−トタイプは剪断速度がもっと遅い10−2 - 10secの領域を測定することができます。両者を組み合わせると広範囲な剪断速度領域での流動特性を知ることができます。

 このレオメ−タ−の概略図を図に示した。コ−ンとプレ−トとの間の角度αは小さく、α(rad)=sinα =tanα <<1となるような角度αがとられており、一般には3ー4゜以下の角度が設定されています。

 試料がコ−ンとプレ−トの間のくさび状の隙間に入れられプレ−トを一定回転(n)させ、その時に試料を通してかかるコ−ン側のトルクM、全スラストFを測定することにより、粘度、第一法線応力差を測定することができます。

 剪断速度は次式により算出されます。

γ =r・2πn/rtan α ≒2πn/α     (3)                                     

したがって、コ−ンの角度(α)と回転数(n)が決まれば剪断速度が算出され、試料のどの位置においても、一定の剪断速度が得られる。円板上でφを方位角とすれば、rとr+drおよびφとφ+dφとの間に囲まれる微少面積要素に発生するトルクdMは

    dM=η・γ・r・( rdφ)dr            (4)

となるから、円板上に働く全トルクMは

       R  2π                             

    M=∫  ∫ηγr2 dr dφ= 2/3 πR ηγ      (5)

       0  0                               

となります。したがって、剪断応力τは次式となります。                  

   τ=ηγ= 3M/2πR          (6)          

粘度は 

 η=τ/γ= 3Mα/(2πR2πn)     (7)       

で与えられる。低剪断側での測定は精度良く行えますが、剪断速度が速くなるとコ−ンとプレ−トの間にある試料の外周の自由表面に乱れを生じ、正しい測定が行えなくなります。

 そこで低剪断側において、コ−ン&プレ−ト型を、高剪断側でキャピラリ−レオメ−タ−を用いて測定することにより広範囲な剪断速度下での剪断粘度が得られます。

 図にその測定結果の一例を示します。

一方、弾性効果の指標となる第一法線応力差は次式で得られます 

τ11−τ22= 2F/πR            (8)        

 

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