第8回 プラスチックを成形加工するってどういうことなの?                 

  高分子は熱が加えられてある温度以上になると溶融するが、これを冷却すると固化する性質を持っている。この性質を利用し各種の成形法がある。例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形などがある。

 高分子加工の一つである押出成形では、押出機内でペレット状あるいは粉末状の高分子に熱を加えて溶かして、均一な溶融状態とし、一定の押出量で溶融樹脂を押出し、ダイ内で希望する形に賦形し、冷却して固化させる。このように連続的に成形品を成形することができるので、一般的には断面形状の一定な長い成形品ができる。このままでは成形品の取扱いが不便であるため、引取後適当な長さに切断するか、あるいは巻き取る。

 一方、射出成形ではペレット状あるいは粉末状の高分子に熱と圧力をかけてこれを溶融し、適当な流動状態となった溶融樹脂を高い圧力のもとに、閉鎖した金型内に高速で流し込み、充分固化させて、希望する形の成形品を金型から離型することにより製品をつくることが可能である。このため、押出成形では連続に成形品を作るのに対し、射出成形は1つのサイクルの繰り返しによって、成形品を得る。

高分子加工法の代表的な押出機の概略図を図1に、また押出成形および射出成形の工程について表1に示す。

表1  押出成形・射出成形の工程

溶融

賦形

変形・冷却・固化

製品と取り出し

押出成形

押出機

ダイ

引取・冷却装置

引取機

巻取機

射出成形

射出機

金型

金型内冷却

離型・取出し

 

押出成形で成形されるものには、シート、フィルム、繊維、モノフィラメント、ボトルパイプ・チューブ、異形品、ワイヤー・ケ-ブル絶縁、ラミネート製品などがある。

射出成形品にはバケツ、コップ、イス、コンテナ、家電製品の外枠、バンパーなどの自動車部品など金型形状に対応した成形品などがある。

熱可塑性樹脂の代表的な加工法を表2に示す。熱硬化性樹脂の成形加工法もある。

表2  熱可塑性樹脂の成形加工法

分類     成形法

 

応用例

 

製品例

 

射出成形

 

射出成形   射出発泡成形

 

 

 

 

 

射出-中空成形

 

バケツ コンテナ-・コップ

バンパー、家電製品の外板材

低発泡合成木材(テレビ、

ステレオのハウジング)

薬瓶、哺乳瓶(ポリカ-ボネイト)

PET二軸延伸ボトル

 

 

 

 

シ-ト-熱成形

ゴミ袋、グロサリーフィルム

農業用フィルム、食品包装

シ-ト(ポリスチレン他)

 

中空容器、シャンプー 瓶、タンク

水道用パイプ

カ-テンレ-ル

電線コ-ド

セロハンとの積層フィルム

合成木材(スノコ)

 

 

 

 

 

 

押出成形

インフレ-ションフィルム成形

Tダイフィルム成形

シート成形

 

ブロー成形

パイプ押出し

異形押出し

電線被覆

ラミネ-ション

押出発泡

 

 

真空-圧空成形

 

トレイ(弁当、果物類)

コップ、冷蔵庫のインナ-ボックス

 

熱成形

真空成形

 

圧空成形

 

 

一軸、二軸延伸

 

ロ-プ

OPP フィルム(菓子、花、繊維包装

PET 磁気テープ

結束用ひも

みかん用ネット

 

 

延伸成形

モノフィラメント

延伸フィルム

 

延伸テ-プ

ネット

 

 

 

 

ライニング

水タンク

サインペンの芯

金属面へのコ-ティング

パイプコ-ティング

 

粉末成形

回転成形

焼結加工

溶  射

流動浸漬

 

連続キャスティング

MMAシ-ト、カーポート

ポリカ-ボネイト極薄フィルム

(コンデンサ-用フィルム)

金魚、貝、花等封入した土産品

ウルトラマン他の塩化ビニ-ル製玩具

 

 

注  型

モノマ-キャスティング

ソルベント キャスティング

 

封入注形

スラッシュ モ-ルド

 


 

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