プラスチックなぜなに物語

 

CONTENTS

第1回 ポリカーボネイトの秘密

第2回スーパーマーケットのバッグの秘密

第3回不織布の秘密

第4回光ディスクの秘密

第5回オーディオテープの謎

第6回バンパーの謎

第7回成形加工性の謎

第8回 プラスチックを成形加工するってどういうこと?

第9回 成形加工 9月号 巻頭言 製品開発競争に勝ち抜くには

第10回 白川法導電性ポリマーとは

第11回 日本石油化学企業の動向



 

   第一回 ポリカーボネイトって何だろう?

まず第一弾として、 ポリカーボネート(PC)樹脂技術研究会が開設したばかりのホームページを紹介します。

 

ポリカーボネートは、皆さんの身近では CD、ヘルメット、カーポートやア-ケ-ドの屋根、OAハウジング、透明波板などに使われております。

特徴としては、透明性が高く、落としても割れないという強度の高さ、耐熱性があるなどがあげられます。

このような特徴から食器や哺乳瓶などに使われていますが、原料となる ビスフェノールAが環境ホルモンとして作用する可能性があるということで 今話題になっております。

こちらのホームページには、

各界の名士に、環境問題、PC、プラスチックス等について自由な課題によるエッセイ 第1号は、荻野アンナさん(慶応大学文学部助教授)

PC、プラスチックス、環境問題等の情報をやさしい解説と生活に役立っているPCの情報

などがありますので、ぜひご覧になってください。


第二回 スーパーのバッグは、、、

Q:

スーパ-マーケットでもらう白いプラスチックの袋はどうやって作るの

A:お答えします

 ポリエチレンという一種のプラスチックの原料を用いて、インフレ-ション成形法という方法で、薄いチュ-ブ状のフィルムを作り、これに上部と底を熱でヒ-トシ-ルして、上部の一部を くりぬいて、取っ手の付いた袋にします。 白く見えるのは、一種の白い顔料を添加しているからです。

  

押出機で、米粒状のポリエチレンのペレットという原料に熱をかけて溶かし、ダイと言うところで、溶かしたものをチュ-ブ状に押出し、その後、風船のように中に空気を入れて膨らまし、縦と横に引張って薄くし、フラットに折りたたまれて、巻き取り機で巻き取られて製品になります。印刷はこの後、クラビア印刷の工程を経て、その後ヒ-トシ-ル工程行きます。

参考文献

第3回 不織布って何?

Q:

紙オムツなどの表面材に使われている不織布はどうやって作るの?

A:お答えします

昔は布の紙オムツが使われ、お母さん方が毎日せっせと洗っていましたが、最近は、紙オムツが一般に使われるようになってきました。

その背景には水分を良く吸収する高分子吸収体ゲルが非常に優秀になったことと赤ちゃんの肌に直接ふれる不織布が、より柔らかく出来るようになり、低価格で製造が出来るようになったことがあげられます。

不織布は一見すると布のようですが、プラスチックの一種のポリプロピレンを原料にしています。

一万本以上もある細いノズルから溶かした原料を押出し、狭いスリット内に流れる高速エア-の空気抵抗力を利用し、細くし、ベルトコンベア-上に堆積させます。これは綿のようなものになりますが、これを熱のかかった表面が凹凸のあるロ-ル間に通すことにより、凸の部分の糸だけが接着し、布のような仕上がり不織布が一工程でできあがります。

このため、織る工程がなく、一般に使われている包装用のフィルムと同じくらい簡単に製造できますので、安価でソフトな布地ができます。

この不織布は、幅広く私たちの日常で使われています。 たとえば、お花屋さんで花束を作ってもらうと色のついた和紙のような布でラッピングをしてくれますね。 あれも不織布なのです。 そのほか、使い捨ての下着や医療現場では手術着などにも用いられています。

不織布が作られる工程は下の図のようになっています。

1.金井俊孝 不織布製造プロセスの解析 成形加工'90 要旨集 p185-186(1990)

2.金井俊孝 不織布製造プロセスの解析とその応用 成形加工'91 要旨集 p185-186(1991)

3.T.Kanai,I.Tsuji;The Polymer Processing Society 6th meeting Proceeding p5-11(1990)

4. T.Kanai,I.Tsuji;The Polymer Processing Society 14th meeting Proceeding (1998)

 


第4回 光ディスクは、、、

Q:CDやDVDのディスクはどうやってつくるの?

A:お答えします

光ディスクは、カラオケのレーザーディスクにはじまり、CD、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD、DVD-RW、MO、MDなど多くの音楽やコンピューターのメモリーとして活用され、最近では需要が飛躍的に伸びています。皆さんも少なからずこの恩恵にあずかっていると思います。(*^_^*)

その原理は、ポリカーボネイト樹脂から出来ている基板および二種類の記録面①CDのように基板中にきざまれた凹凸とアルミの薄い反射膜、

あるいは②MOのように磁気の向きによってメモリーを記憶している材料から成り立ち、レーザーを使って記録を読みとっています。

CD、CD-ROM、CD-Rについては、プラスチックの成形加工法の一つである射出成形により、金型表面にスタンパー(凹凸の情報が

入っている薄い金属の膜)を貼り付けて成形します。これを図のようなレーザーの光を情報面に当てて凹凸の情報を読み取っています。これは、光の回折と干渉という効果で正確に読みます。

一方、書き換え型の光磁気ディスクの方はレ-ザ-で加熱し、その後磁気の向きを記録しています。この磁気の向きによるわずかな光の偏光の差を読み取っていますので、基板材料であるポリカーボネ-トの光学均一性を、いかに達成するかが、今後の高密度化、高情報量化のターゲットとなっております。

現在使用されている記録媒体を以下に示します

 

記録媒体

記録容量

単板/貼合せ

備  考

再生専用型 

CD

640MB

単板

アルミ蒸着

CD-ROM

640MB

単板

アルミ蒸着

DVD

4.7GB/面

両面貼合せ

アルミ蒸着

DVD-ROM

4.7GB/面

両面貼合せ

アルミ蒸着

MD

140MB

単板

アルミ蒸着

追記型 

CD-R

640MB

単板

色素系ピット

DVD-R

3.9GB

両面貼合せ

変形

書換え可能

 

相変化

 

CD-RW

640MB

単板

映像中心

DVD-RAM

2.6GB

両面貼合せ

映像中心

PD

650MB

単板

映像中心

 

光磁気

 

5インチMO

0.32-2.6GB

両面貼合せ

コンピュ-タ用

3.5インチMO

130-640MB

単板

高密度化

MO-MD

140MB

単板

可能性大

参考文献

1. T.Kanai K.ShimizuY.Uryu: Prediction of Birefringence for Polycarbonate Optical Memory DiskIntPolym.Process4132,(1989

2 TKanaiBirefringence Control of Optical Material, J.Japan Soc.Polym.Proc2,(1),21990

3. Y.Shibata,T.Kanai,K.Kojima: Injection Molding of PC Optical Memory Disk Substrate, J the JSTP 1492,(371),321991

4 .金井俊孝 第6章射出成形の残留応力:”プラスチック成形における残留ひずみ、応力の発生と対策”大柳康監修,技術情報協会出版(1990

 

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